|
|
「tanaka」さんへ
>M.フーコーの理論は、「理論・概念主導法」において、最初に参考とするビックセオリーの例のひとつ
なるほど。それならわかります。M.フーコーは「言説」という概念で社会の中の権力なるものを考察しました。これはニーチェが倫理や道徳を考察するのに「ルサンチマン」という概念を使ったのと同様、こうした先哲の思索をひとつの土台としてあらたな枠組みを質的研究で見いだしていくということなら「理論・概念主導法」というものと結びつきますね。
質的研究には常に「主観と客観」の問題がつきまといます。この問題は私なりに整理すると、
(1)主観は客観を認識できるか
(2)そもそも客観などあるのか(客観を認識する主観は必要か)
となります。
この(1)の問題(これを「ヘーゲル主義」といいます)こそ哲学で言う「認識論」であり、(2)の問題は社会思想での問いかけです。こうした背景が質的研究にあるからこそ、学んでいく中でいろいろな哲学者や社会思想家の名前が飛び交うのです。
しかし、質的研究を行っていく上でそれらの知識が不可欠かといえば必ずしもそうではありません。質的研究の特徴を哲学や社会思想から眺めるという意味では大切ですが、ともすると質的研究の方法論と混同している人達がいます。質的研究はしっかりデザインしないと容易に「浅い研究」になってしまいます。それを誤魔化すためにごちゃごちゃと哲学用語を並べ立てている研究すらあります。しかし、大切なのは「いかにしてエビデンス足りうる研究成果を生み出すか」なのですから、質的研究の方法論をしっかりしたものにするために自分なりの創意工夫が出来るようにする。そのための哲学・社会思想史なのだということを認識しておくべきでしょう。
さて、参考書ですが・・・。
すでにお持ちかも知れませんが、下記の三冊がいいと思います。
1.Qualitative research for nurses (I.Hollway & S.Wheeler, Blackwell Science)
2.Qualitative research & Evaluation Methods(M.Q.Patton,SAGE)
3.Basic concepts for Qualitative research(I.Holloway,Blackwell Sciene)
いずれも最新版があるかどうかはわかりませんので調べてください。ただし、1.には日本語訳が出ていると思います。これは結構参考になります。2.は質的研究を本格的に勉強したいという事であればどうぞ。英語も平易ですし、挿絵もわかりやくてお勧めです。それから、3.は用語辞典です。質的研究にはいろいろわからない用語が出てきますので有用です。かつて米国のある先生とこの本の日本語版を、と考えたことがありましたが、私が大学を辞めることになりその話しも消えてしまったといういわく付きの本です。
|
|